拙く伸ばす 落乱 利こま

初利こま
お、ちょ、甘いんですけど、甘いよ、これ、もしかして私死ぬのかな！ウヒョー怖い＾＾＾＾＾

「りきちさん」
平仮名。
「りきちさん、だいすき」
平仮名ではっきりと、紡ぐ。

衝動的に頭を撫でてしまった。頬を膨らませて怒るかと思ったが、目を細めて親に褒められた子どものようにくすぐったそうにした。

（かわいい…）

身体から湧き上がるのは、激しい溶岩の濁流のように熱く速い。名前は何と言うのか、それは判らないけれど、とにかく抱きしめたくなって、細い身体をぎゅうと腕に収める。


「心臓、うごいてますね」
「ああ、お前のせいで、張り裂けてしまうかもな」
くすくすと笑う。冗談ばかり、と笑う。冗談じゃないが、今頃恥ずかしくなってきたのでそういうことにしておいてもらおう。
背中を擦ると、お前が猫だったらきっとごろごろと喉を鳴らすだろう、それぐらいに嬉しそうにする。お前のすべてはまるで弟のようで、我が子のようで、そんな恋人は愛しいという言葉などでは到底著しきれないぐらいに、（じゃあ、何と言おうか）そう、離したくない。誰にもやりたくない。独占させてくれ。



「もっと、俺を呼んで、秀」
拙い平仮名は、俺だけのもの。