文サイトとボイスサイト兼用
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後で修正します…
ほぼ確認なしで書いたから修正箇所がありすぎる ちなみに奥はなこのタイトルの曲がネタです あの歌は感動したぜ… 「センパイ」 「今までありがとうな、タカ丸」 「…へいすけ、く、」 抱き締めようと手を伸ばしたのに、兵助くんはもういなかった。 緑の頭巾と、さよならってことばだけを残して。 あれからもう二年経った。 忍術学園を無事卒業しフリーの忍者として働き始めたオレは、幸いなことに仕事には困っていない。 入学したてのあの頃は、皆オレの物覚えの悪さに進級を心配してくれていたけど、身体に流れる忍の血のおかげか、五年の中盤になってからやっと皆に追い付けた。 最初は慣れなかった殺すことも、いつの間にか平気になってそんな自分が嫌だったのに(若かったんだ)忍者はそういうものだから。 (でも) 兵助くんには会えない。あれから、一度も。 いつでも懐にはあの頭巾が入っている。 さよならは別れのことば。 ようするにいきなり、忘れろと言ったのだ。兵助くんは。 「無理に決まってるじゃん…」 ばか、ばか、兵助くんのばか。 まだこんなにだいすきなのに。 あんたはオレの前に、いないんだ。 「兵助くんの、ばか…」 「タカ、まる?」 ふっと視界が暗くなる。 いや、違う、暗くなったんじゃない。誰かがオレの前に立ってるのか。 オレは咄嗟に後ろに飛び退く。 それからゆっくりと、さっき聞こえた言葉が脳に染み込んできた。 「兵助くんっ…?」 頭巾を口まで被っているので目しか判らない。 でも、長い睫毛と、くりっとしたまんまるの目は確かに、 「…懐かしいな、タカ丸」 濃紺の忍装束に身を包んで、(それはオレの知らない) ゆっくりと頭巾を外したら、見慣れた長い黒髪が短かった、(オレの、知らない) 「髪、切っちゃったの?」 「あぁ。ちょっとな」 笑う姿は変わらないのに、兵助くんは前とは違った。オレとの思い出は、まるで全部なくなったかのように。 でも、たった一つだけオレがあった。 「それ…」 血の臭いがする。 「覚えてたか。お前からもらった苦無だよ」 オレが初めて人を殺した苦無だ。 震えるオレの手を握って、兵助くんはこの苦無をくれと言った。 お前の恐怖を俺がもらうって、そう言って、口付けをしたのは、 「まだ、オレの恐怖を持ってくれてるんだ」 嬉しかった。さよならを言われても、ただの友達になっても、兵助くんはオレのことを忘れてない。 きっとこれからも忘れないのかな、だといいな。オレはこんなにまだあんたが好きだから。 でも、 (ともだち) 頭の中で反芻した。 ともだち、ともだち、ともだち、 それ以上では、なくなってしまった。 知らない服。 知らない髪。 知らない顔。 届かないことを今更実感させられた気分だった。兵助くんはもう、オレの腕の中には戻らないんだって。 「兵助」 情事にしか呼ばなかったことばに、ぴくりと反応した。 「オレは、何が悪かったの?」 じくじく。言っててこんなに辛いのは初めてだった。 兵助くんは何も言わない。ただじっと、オレを見てた。 「オレは、相応しくなかったの?」 「っ、違う!!」 そう叫んで、首を横に振った。 それから違う、違うと何度も呟いて、俯く。 兵助くんの手は、きつく握り締められていた。 「嫌いになったわけじゃ、ないんだよ…」 じく。 胸が痛い。 頭が痛い。 嬉しがればいい。ああ、嫌いになったんじゃないんだって。 なのに痛かった。苦しかった。 どうせなら嫌いって言えばいい。それなら諦めもつくのに、ともだちの位置はあまりに、辛い。 (ねえ兵助) 知ってるんでしょ、俺がまだあんたを好きだって。 (兵助) 呼ぶ度にこんなに苦しくなるんだよ。 ぎゅうって、心臓が、ああ、兵助が握り潰してくれればいいのに。 やり直せない。 兵助はやり直してくれない。 だって、兵助が別れを紡いだから。 何度も何度も口付けを交わした唇で、別れを紡いだから。 ちょっと期待してた。 また好きだって言ってくれることを、心のどこかで。 たとえ (あんたから、違う奴のにおいがしても) 「善法寺センパイでしょ」 兵助くんがびく、と身を強張らせたのが判った。 「知ってた。学園にいた時から、ほんとはずっと。でも認めたくなかったから、忘れてたんだよ。…思い出しちゃったけど」 自嘲したら、兵助は唇を噛み締めた。 なに、後悔してるの。 知ってる。兵助はオレに情けをかけてたって。同情だった。 知ってる。兵助が卒業するあの日、善法寺センパイが迎えにきてたのを。 知ってた。けど、オレは兵助が幸せならいいんだよ? (泣かない) あんたの前で泣いたら、優しいからまた同情しちゃうでしょ。 だから少しだけ、目を逸らして。 少しだけでいいから、泣かせてよ。 でもオレに話しかけていて。 あんたの声を、聞いてるだけならいいでしょう? 「ねぇ、兵助くん」 精一杯の笑顔で、オレは、 「もう顔を見せないで。オレも顔を見せない。これが最後のお願いだから」 あんたを離したくなくなるから。 だから、もう二度と、二度と、 「好きだよ兵助くん。オレの中できっとずっと、あんたが一番だから」 それがオレがあんたに初めて紡いだ、別れのことば。 PR この記事にコメントする
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