それは、愛もどき 落乱 利こま

利吉さんが酷すぎるので純粋なお方は閲覧注意

誰にも必要とされていない、なんて、厚かましいことじゃないか。
それで嘆くなんて、厚かましいことじゃないか。
「必要とされていない？必要としてほしい？君は相応の努力をしたか？へらへらと笑っていれば時は流れる。けれど君は成長しない」
捲し上げるように言葉で攻め立てると、君はびくりと身体を竦めた。小動物のよう。一挙一動、(苛々、)する。
何様だと言うんだ。へらへら笑って、忍術も進歩しない。入出門の確認でしか役に立たないくせにもっと必要とされたいとほざく。それだけやっていればいいのに貪欲に必要とされることを求める。反吐が出る。腸が煮えくり返りそうだ。

(潤んだ瞳)

泣けばいいと思っているのだろうか。君は私の前でよく泣く。泣けば許してもらえると思っているのだろうか。それならその目玉をくりぬいてやるまでだ。
「私は君が大嫌いだよ」
顎を持ち上げると、大きめの瞳から生暖かい涙が零れる。指を濡らすそれが、気持ち悪い。
「僕は利吉さんに、利吉さんだけ…！必要と、されッ、れば…」
嫌いでもいいと言うのか。私が必要だと言えば、嫌いでもいいと言うのか。
(反吐が出る偽善だ)
だから君が大嫌いなんだ。
馬鹿みたいに私を求めて、傷付けても傷付けても笑う。気持ち悪い。何度も苦無で首をかっ斬ろうとしたのに、君はその時だけはへらへらとしている。
斬れないんでしょう。
そう嘲笑われているようで、不愉快極まりなかった。何もできない青二才がへらへらと笑っているな。




「殺したいよ」
「殺したら、食べてくださいますか」
(真っ直ぐに純粋で気持ち悪い)
ああ食べてやるよ。そうしたら君がどうしてそうなのか判るのかな。






「憎たらしい」
へらへらと、笑った。